2015年07月21日

「今・ここ」にしか生まれないハーモニーをつくる file.69(後編)

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前編はこちら

――星加さんのされていることって「場づくり」という言葉に
はまりきらない気がしてきました。

星加:そうですね。「場づくり」だけではないですね。
よく「星加さんは風みたいだね」と言われます。この表現がしっくりくるんですよ。
比喩的な表現になりますが、
強い風もあれば弱い風、春風、あたたかい風、広がっていく風もある。
こうした色々な風を吹かせて、相手からくる風も受け止めて循環を生み出すような。
色んな音を引き出しハーモニーを創り出す指揮者に近いイメージでしょうか。
その場に生じたエネルギーや、人の奥底に眠っている可能性をとらえて、
増幅させ、伝え返していくというのを繰り返しているんです。

そうすることで、無意識に自分を覆っている衣を脱げる場を作ってるんですよ。
「脱いだら意外と楽なんだ」
「むしろありのままでいた方がパワーが出るんだ」と気づいてもらいたいなと。
これは1対多のときも、1対1のキャリアカウンセリングや
普段のコミュニケーションでも大事にしていることですね。
だから、相手からいい風が吹いてきたら逃したくないと思っています。

――いい風を起こして、相手の風を全身で受け取ってハーモニーをつくっていく。
この面白さを味わった経験が過去にあったのでしょうか。

星加:原体験になっているのは、大学の合唱サークルに入って
人前でハーモニーをつくり、お客さんたちが感動してくれたことだと思います。
中高時代は「打ち込めるものが特にない」ことがコンプレックスでした。
「人前でステージに立ってみたい」と思っていたのに、話すのが苦手だと思い込んでいて。
でも大学では打ち込めるものを見つけようと合唱の世界に飛び込んで、
違う音(声)をもった人とハーモニーをつくるインパクトの大きさを
目の当たりにできて本当によかったと思っています。

――ハーモニーをつくる中で、星加さんはどんなことを大事にされていますか。

星加:僕は言葉以外の部分から汲み取ることが多いですね。
声色、表情、からだの動き、硬さとか。
初対面でも、いい意味でリラックスして抜け感がある人と、
壁をつくって自分の行動にブレーキをかけている人の違いが見分けられるようになりました。

後者のような人に会うと、
「もしこの人が100%のあり方をしたら、こんな風にもっと素敵なんだろうな」という様子が
心に浮かんでくるんです。
写真を撮るときも、相手が100%の状態になった瞬間を
シャッターに収めるようにしています。
自分が想像していた以上のエネルギーがあふれ出てくることもある。
それがまた面白いし、それに触れることを、追い求めているような気がします。

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――その感性というかセンスはなかなか誰でも真似できない気がします…!

星加:僕はこれは生まれもってのギフトなのかなぁと思っています。
ギフトに気づくには、とりあえず「いいな」と思ったら行動してみるしかない。
そして、やってみて、違ったらやめたらいい。
たくさん飛び込んで経験することで、しっくりくるものや、
そうでないものが少しずつ見つかり、少しずつ自分のギフトに気づくんじゃないでしょうか。

今でこそ、ファシリテーターも、カメラも、趣味のミュージカルも合唱も、
「今ここにしか生まれ得ないハーモニー」を奏でたいからやってきたんだって気づきましたが、
色々経験したからこそ分かったことですね。

――これから挑戦したいことや大事にしたいことは何ですか。

星加:好奇心旺盛なので色んなことに挑戦して、世界を広げていくのは好きなのですが、
今年は「深めていく時間」を大事にしたいですね。
人の可能性ともっと深く向き合い、引き出せるようになりたいなと。
まだ何を深めるかははっきり決めていませんが、
これやるんじゃないかな、というものはいくつかあります。
また次回お会いした時にはお話できるんじゃないでしょうか(笑)

それと、やっぱり「ハーモニー」を楽しむことはやり続けますね。人生のテーマですから。

このインタビューも「今・ここ」で二人が作り出したハーモニーが、
どう文字化されるのか、とても楽しみです。
こういう喜びに満ち溢れた時間を過ごせて、本当にありがたいです。
いつでも、「今・ここ」を楽しみ、味わうことを大事にしたいし、
そういう生き方を色んな人に見せて、伝えられる自分であり続けたいですね。

☆☆☆☆☆

「遠くに遠くに探し求めていた『目指すもの』が、実は、「今」からしか生まれない」
この言葉はインタビューから時が経った今も、
何か見失いそうなときに、私を原点に連れ戻してくれる。

相手(被写体)が気づいていない良いところを引き出すというカメラ。
相手の風を全身で受け取ってハーモニーをつくっていくという合唱。
これらとファシリテーター、インタビューとの意外な共通点があるというのは
非常に大きな学びだった。
風を感じ取り、その流れに自然とのっていけるような感覚を
私も少しずつ磨きたい。そう強く思った。

星加さんは、「深めていく時間」を過ごしながら、
人の可能性のさらに深いところとつながって、
今日もハーモニーを奏でているのだろう。
posted by メイリー at 01:05| インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「今・ここ」にしか生まれないハーモニーをつくる file.69(前編)

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星加武史さん。
リクルートにて飲食店や企業採用情報サイトの営業、
大学生向けキャリア支援事業の立ち上げを経験した後、
『人の可能性を最大限に引き出す』場づくりに興味を持ち、独立。
高校生や大学生、アスリートキャリア支援講座のコンテンツ設計・ファシリテーターを中心に、
野外活動などを通した幼少・青年期の人間力形成にも携わる。
趣味は、カメラ、ミュージカル俳優、合唱、ロードバイクと幅広い。

☆☆☆☆☆

――2013年夏にお願いした「教育×キャリアインタビュー」以来ですね。
あれから色々な変化があったかと思いますが、現在の活動を教えていただけますか。

星加武史さん(以下敬称略):現在は主に就活生や若手社会人向けのキャリア支援講座で
コンテンツ設計やファシリテーターを行いつつ、
企業研修講師や高校生向けのワークショップにも携わっています。
あとは、数年前に登山の魅力に目覚めてから、登山ガイドとカメラの仕事も始まりました。
あとはライフワークとして子どもたちとミュージカルに出演しました。

――多彩な活動をされているのですね!
色々お聴きしたいのですがまずはカメラのお話を聞いていいですか。

星加:2年前までカメラは趣味だったんです。
ですが、戸高雅史さんという登山家の方と一緒に子どもキャンプに行って写真を撮っていたら、
親御さんたちが「うちの子がこんな表情するんだ…!」と非常に喜んでくださって。
それ以来、フォトグラファーも兼ねてキャンプや登山の引率をしてほしいという
依頼が増えてきました。
まだプチプロという感じですが、子どもたちが生き生きした瞬間をとらえようと思っています。

――いい瞬間をとらえるために心がけていることって何でしょう。

星加:「この表情を撮りたい」と思った瞬間にシャッターを切るに尽きるのですが、
カメラって撮影する人の無意識の部分も映し出すんですよ。
後で写真を見て「なぜこんなのが写ったんだろう?」って感じることありませんか。
あれは自分の無意識が注目したものが投影されているんです。

カメラも場づくりも「相手(被写体)が気づいていない良いところを引き出す」
という意味で、似ているなぁと思います。
例えばキャリア支援のワークショップでも、その場に参加している人や全体の変化をキャッチして、
「なんだかクラス全体が明るくなってきたね」、
「さっきより○○さん、いい表情してる」などと伝えるようにしています。

――カメラと場づくりにそんな共通項があるのですね。
就活生向け講座でファシリテーターをしていて、普段どんな風に感じていますか。

星加:僕が出会う就活生の約9割はこれまでレールに乗っかってきた子という印象です。
大学生までは、それで何とかやれますが、就活で突然自ら道をつくらざるを得なくなります。
ただ、逃げ場がないときだからこそ、彼らにとっては自分と深く向き合うチャンスなんです。

事前に彼らの状況を想像しながら、どうやったら自分の可能性に気づけるだろう、
自分に自信が持てる時間になるだろう、と
プログラムの設計を考えているときはすごく楽しいですね。
ですが、時には、講座の現場を見て、構想を全部手放すこともあります。
学生のその瞬間の状態によって必要なものが違うし、
参加者のニーズを遮ってこちらがやりたいようにやっても、つまらない場にしかならない。
例えば「元々コミュニケーションの質の深め方をテーマにするつもりだったんだけど
みんなの様子を見ているとコミュニケーションの数の増やし方に意識が向いてるみたいだね。どうする?」
と彼らに尋ねて、やる内容を決めてもらうんです。
用意してきたものを全て捨てるのも面白いですよ(笑)

ファシリテーターの自分が触媒になって、人を元気にする空間を生み出すのは
何度やっても楽しいなぁと感じます。

――当日現場に行って内容を変えることもあるとは…!
ワークの引き出しをたくさんもっている星加さんだから可能なのでしょうね。
いい講座やワークショップの条件って何でしょう。

星加:前に立つファシリテーターのあり方と、プログラムのコンテンツ、
そして受講者の状態がピタッと一致するときでしょうか。
特にファシリテーター自身の想いや願いがあるかどうかは大事ですね。
企業研修の場合なら、企業のトップや人事など、
受講者を取り巻く関係者たちの意向とどう噛み合わせるかという視点も大事になってきます。

――研修がうまくいかないときってありましたか。そんなときはどう浮上しているのでしょう。

星加:うまくいかないときはめちゃくちゃいっぱいありましたよ〜。
でも、その二度とない空間を最高のものにしたい、という気持ちが強いんです。
だから、そうならなかったときは、悔しくて悔しくて。
僕って普段は適当でいいかげんな人間なんですが(笑)、
キャリア支援においては100%のものを提供することにこだわっています。
そうしないと後悔します。
自分が関わった人が、自分に自信を取り戻し、
目をキラキラさせて次のステージに向かっていけるかどうか、がかかっていますから。
その責任を背負っているプレッシャーは大きいです。
でも、その瞬間に立ち会えるのは、仕事冥利につきます。

――今のお仕事は星加さんにとっての天職なのでしょうね。
ファシリテーターをしていて、一番つらいときってどんな場面でしたか。

星加:ファシリテーターや仕事に限らず日常もですが、自分の心に素直になれないときですね。
何かをうまくやったつもりでも、心がしっくりきていない。しかも理由がわからない。
心に素直に生きられるようになったのはついこの4, 5年なんですよ。

――つい4, 5年ですか。

星加:そう。31、32歳頃までは「自分がやりたいことって何だろう?」
「どの分野でスペシャリストを目指せばいいのか?」と試行錯誤の日々でしたから。
リクルート時代も、入社当時はバリバリの営業マンになろうと意気込んでいたのに
結果がついてこなくて悩んだ時期もありました。
リクルートを辞めた後も、モヤモヤした時期が続きました。
ファシリテーターの仕事をやりながら、
小学生向けの塾で国語を教えていたのですが、しっくりこない。
子どもたちと接するのは好きなので、一時期は小学校の先生を目指して専門の勉強をしていましたが、
結局続きませんでした。

そんなときキャリアフラッグの代表である
熊澤に「キャリア支援を手伝ってくれないか」と声をかけてもらったのが、大きな転機となりました。
学生時代に知り合った友人なのですが、何かご縁を感じて即座にOKしました。
これを契機に、いい循環に入っていきましたね。
気がついたら、目の前の仕事に没頭していました。
遠くに探し求めていた「目指すもの」が、実は、「今」からしか生まれないんだなって。
よく聞く言葉ですが、本当にそれを実感しました。

「夢をもたなきゃ」って言う学生が多いのですが、なくてもいいんですよ。
ある程度方向性を決めておけば、偶然の出来事やご縁を通して、自分の道が見つかっていきます。
それよりも「今、ここ」での経験を味わい尽くすことが大切。
前に進むばかりでなく、悩んでしゃがんだり、何歩も下がるときがあってもかまわないんです。
僕自身、今の自分があるのは、もやもやしながらも
20代から30代前半に経験を積み重ねたことが大きかったです。

目の前のことに本気でぶつかって、悩んで、そこから感じることを大切にするしかないですね。
posted by メイリー at 00:41| インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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