2013年04月20日

職業欄にない職業:自転車旅人の生き方に迫る file.3 【後編】

ーー子供時代に抱えていた不安を掘り起こしたことから、
いつしか「自分のため」の旅が「子供のため」「人のため」の旅にも
変化していったのですね。
実際に講演活動をされて、子供たちの反応はいかがですか。

西川:冒険の話をすると、子供たちの目がキラキラ輝くんですよね!
それと同時に、いかに自分が多くの人に「支援されてきたか」にも改めて気付きました。
旅の途中で家に泊めてもらったりご飯をご馳走になったり、。
何より、日本で待ってくれている家族や友人がいるから
安心して未知の世界に飛び込める。
「じゃあ自分にできることは?」と考え始め、
中国で地震が起きた時には、ボランティアに駆けつけたり、
カンボジアで日本語教師のボランティアをしたり、
インドでマザーテレサが開いた孤児院にも行きました。

ーー旅をしつつ、様々な国でご自身も「支援」に携わっているのですね。
東日本大震災の被災地でのボランティアもなさっているとお聞きしました。

西川:被災地では、仲間と汗をかいて作業をした日々がとても記憶に残っています。
被災者の方々と一緒に笑って泣いて…。
「今自分がいる意味」を感じられるようになりましたね。
「生きがいに直結したことを、やっていきたい」という気持ちを新たにしました。
ボランティアセンターの職員をしつつ、夜は避難所の子供たちの自習を手伝ったり。
ただ、「外の人」がいつまでもその土地の主役でいてはいけないんです。
去った後に空っぽになってしまうおそれがある。
だから、仕事を現地の人に少しずつ引き継いでいって。
そこで「子供たちと関わりたい」という欲求がますます強まっていきました。

被災地をしばらく離れてることになるけれども、
自転車旅を通じて彼らにできる支援はないだろうか。
そんな思いから福島県新地町の教育委員会にかけあい
町内の小学校との交流会授業を実施することが決まりました。


ーー「子供たちの成長を継続的に見ていきたい」という気持ち、とっても共感します。
総合学習ではどんなプログラムをおこなわれたのでしょうか。

西川:福島の小学校と滞在地をSkypeを使って生中継でつなぎ、
その国の文化や暮らしについて紹介したり、
現地の人にゲストとして登場していただき小学生と交流していただきました。
ただ知識として知ってもらいたいというのではなく、
自分がまるでその国にいるような気持ちで
外国について学んでほしいという思いを込めて。
ネパールにはじまり、インドやイラン、オーストラリアなど8カ国と福島をつなぎました。
いつもは元気いっぱいはしゃいでいる子どもたちも、
外国人とはじめて話すこともあって最初は自信がなかったのですが、
回を重ねるごとにより積極的に発言するようになり、発表の姿も堂々としてきました。
僕の授業を楽しみにしてくれて、先生たちからも良い評価をいただけて。
今年度は小学校、中学校の両方で、継続的に授業をもたせてもらうことになりました。

ーーそれは素晴らしいですね。私が小学生のときに、西川さんの授業を受けてみたかったです。
継続的な授業にくわえ、今後挑戦したいことや夢はありますか。

西川:自分のやっている活動や生き方を「知ってもらいたい」という気持ちがあります。
実をいうと、「職業欄にない職業」を続けることに、いつも不安や怖さはあります。
でも、自分で人生を選べない人たちを見てきて、「選べる」立場にいることだけでもありがたい。
「志をもち続けて頑張る人」でありたいと思っています。
昔の僕はやりたいことを口に出せない子供でしたが、
今は口に出すとアドバイスをしてくれる人や
似た目標をもつ仲間が増えていく。
口に出して「行動する」ことで、仲間って見つかるんです。
ユーラシア横断も、1日1日の積み重ね。
ステップを踏むことで目標を成し遂げることの大切さを子供たちに伝えたいですね。
とはいえ、浅く広い関係になってしまわないよう、
自分のような取り組みをする人が「育つ」仕組みをつくりたいなと。
みんなに「旅をしたほうがいい」とは言いません。
色々な生き方にふれて、「自分なりにやりたいこと」を見つけてほしいと。
何か物事を突き詰めている人って、「言うこと」に共通点があったりするんですよね。

☆☆☆☆☆
初対面の方に教育×キャリアインタビューをお願いするのはこれが初めてだったが、
気さくに、オープンに経験や思いを語ってくれた西川さん。

実は彼が子供時代に感じていた「職業への不安」の話を聞いたとき、
必死で筆を走らせながらも、感動と共感のあまり、目頭が熱くなっていた。

「色々な生き方があっていいんだよ。やりたいことを大切にしていいよ。」

おそらく、子供時代の彼が一番かけてほしかった言葉を、
講演や、彼自身の生きざまを通じて、子供たちに伝えているのだろう。
大人が何気なく発する矛盾したメッセージに疑問をもつほどの、研ぎ澄まされた感性と、
自分と向き合い続けて、困難な目標を現実に変えていく強さを持ち合わせているからこそ、
「子供たちの成長支援」は素晴らしい成果をもたらしているのだと感じた。

「職業欄にない職業」を体現しようとする大人たちが増えていくこと。
それもまた「教育」の重要なテーマの一つになると思う。
彼のような「面白い生き方を選んだ人」を、一人でも多くこのブログで発信することは
私のミッションだと改めて感じるインタビューだった。
posted by メイリー at 21:30| インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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