2013年05月07日

教育がゼロになった国で見つけた夢 file.5(後編)

☆☆後編☆☆

ーー日本の教育にも課題意識をもたれたのですね。
そもそも、どんなきっかけでアジアに行こうと思ったのですか?

古市:元々、ジャーナリストになりたいと思っていて。
大学3年生のとき「Days Japan」という雑誌に出会い、
自分が見たことも聞いたこともない世の中が広がっていたんです。
新聞はある程度オブラートのかかった写真しか掲載されません。
負傷者や血が写真に写りこむことはまずないけれど、この雑誌は違った。
そこで、世界を自分の目で見てみたいと思い、
1年休学して海外に旅立つことにしました。

ーー1冊の雑誌に、そんなにも触発されたのですね。子どもの頃からの夢だったのですか?

古市:実は高校時代まで心から「やりたいこと」がなかったんです。
やりたいことが見つからないってつらいですよ。
高校時代は大学や学部選びも困りましたし、大学では足ツボサークルに入部しましたが、
「これだ!」と思うものに出会えたのは大学3年生になってからですね。
「やりたいこと」って自分が知っている範囲の中でしか生まれないので、
「色々な人に出会える、学校以外の場」が大切だと思っています。

ーー今もジャーナリストになりたいという夢はありますか?

古市:「発信したい」という気持ちはありますね。
悲惨な現状を伝えるよりも
「世の中にはこれだけすごい人がいる」という「希望」を伝えたいなと。
人々を元気にするニュースといえば、
「日本一心を揺るがす新聞の社説」という本がおすすめです。
口コミで全国に広がっている「みやざき中央新聞」なんですが、
良いニュースしか取り上げないという斬新な新聞です。
実は私も、仕事柄、教室を運営している先生たちと接することが多いのですが、
先生向けのメルマガを毎朝、書いているんですよ。

ーーどんなメルマガを書かれているのですか?

古市:仕事に関する内容は3分の1くらいで、メインは「先生がやる気の出る話」です。
自分がどんなことを考えている人間なのかを先生方に知ってもらい、
先生の意欲を高めることで
信頼関係を築けたらという思いがあります。
じわじわと効果が出始めていると感じています。

ーー思いを発信しつつ、信頼をつくっていくっていいですね。
先生方から学んだことってありますか。

古市:1歳から中高生まで通ってくる教室の先生で、
自分にとって「恩師」とも言える方がいます。
4歳になってもことばをなかなか話さないお子さんがいて、親は焦るんですけれど、
その先生は急かすことなく「ひらがなのカード」を渡して、
来る日も来る日もじぃーっと様子を見守っていた。
すると1年たってその子が話し始めて。
そして、先生はこう言ったんです。
「大人は待つことが苦手だけれど、
人を育てるには『待ってあげること』が大切なのよ」と。

ーー子どもの可能性の芽が出るのを「待つこと」が大事なのですね。
古市さんのご両親はどんな教育方針だったのですか。

古市:何でもやらせてくれたことには本当に感謝していますね。
小さいときはお手伝いを必ずするように言われましたし、
テレビを見る時間も決められていて、細かいことは厳しかったんだけど、
大きい決断には口を出さないんです。
大学選びでも、休学すると告げたときも、アドバイスはくれるけれど、
好きなことをさせてくれました。

ーー素晴らしいご両親ですね。
古市さんは「出会った人が皆応援したくなる」ような人だと
私は思っているのですが、その要因は何なのでしょうね。

古市:それはありがたいです。そうですね、自分の夢が自分のためだけでなく
人のためにもなる夢だからですかね。
子どもたちへの講演でも「夢を叶いやすくする方法」を話しているんです。
「何かつきたい職業を見つけたら、その職業で誰を幸せにしたいかを考えよう」って。
例えばパン屋さんになりたいのなら、パンを買った人がどうすれば笑顔になるか、
そのお店の地域がどんな風になってほしいか、
そんなことを考えてみてほしいなと。
そうすると、他の人にもイメージが伝わりやすいし、
応援してくれる人が増えると思います。

ーー「夢を叶いやすくする方法」は、大人の心にもじぃーんと響きますね。
最後に、子どもたちに伝えたいことを一言でお願いします。

古市:「世の中そんな捨てたものじゃないよ」かな。
「ペイ・フォワード」という大好きな映画に、
「本当は世界は思ったほどクソじゃない。」というようなセリフがあって、
まさにその通りだと思っています。
自分が何か行動を起こせば、変化が起こるのだと思います。


☆☆☆☆☆

彼が大学3年生になるまで「本当にやりたいことが見つからなかった」というのは驚いた。
雑誌との出会いから、たまたまカンボジアという「教育がゼロになった国」を訪れ、
世界を見据えた「教育」という「やりたいこと」を見つけていった彼。
行動を起こしてこそ、視界が開けるのだということを痛感したインタビューだった。

人との出会いから常に新しい価値観を吸収し、
自分なりのアウトプットに変えていく底知れないエネルギー。
そして、「夢を叶いやすくする方法」にもあるように、
関わった人をみんな幸せにしたい!という強い思いやりの心。
この源にあるのは、彼の決断をゆったりと見守ってくれるご家族の存在なのではないだろうか。
彼はいつか、様々な生き方が交わり化学反応が起きるような、
それでいて、来る人の第二の故郷になるような、
世界に一つだけのシェアハウスを
築いていくのだと確信している。
posted by メイリー at 19:44| インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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