2013年05月14日

クリエイティブ・プラネタリアン file.6

ここは平塚市博物館のプラネタリウム
親子連れのお客様に囲まれながら、投影時間になると、
目の前に星空のショーが広がる。
解説をするのは、塚田健さん。

激戦といわれる天文の学芸員の試験を通過し、
この博物館で働いている。
彼の解説を聞いた子どもたちは、
ワクワク感に満ちた星空の旅にいざなわれていることだろう。

☆☆☆☆☆

ーー投影の舞台裏には、こんなにたくさんの機器が並んでいるのですね。
プラネタリウムでは、投影や解説以外に、どんなお仕事をされているのですか?

塚田(敬称略):プラネタリウムに投影する番組の企画や制作もおこないます。
この夏には、劇団の方とコラボして、ある作品を上映します。
ストーリーの構想を練って、脚本に落とし込み、
キャラクターのラフ案もつくって。
劇団の方々には声優として参加してもらい、
音楽は作曲家の人にお願いしたり。
実際の番組はこの部屋で録音できるんですよ。
もちろん、番組制作会社から購入することもあるのですけれど。
博物館の事務的な運用、そして天文学の調査にも関わります。
博物館では歴史の特別展などもあるので、多種多様な業務に携わることができます。

ーー番組の企画もおこなうのですね!
プラネタリアンはいつ頃から目指されていたのですか。

塚田:高校2年か3年生の頃にはなりたいと思っていましたね。
元々天体が好きで、高校選びでは天文部があるかどうかを気にしていました。
天文部では文化祭でプラネタリウムをつくって、解説員をしました。
大学時代には、川崎市のプラネタリウムでアルバイトをしたり、
子どもたちに天文のボランティアをしたり。
自分がやっていて楽しいことを、人に伝えるのは大きな喜びです。
実際に今でも天文学普及を目的とした
「天プラ」というプロジェクトで活動しています。

ーーそこでは具体的にどんな活動をされているのですか。

塚田:天文の知識を楽しく身につけてもらえるようなものを一から作ったり、
星空を見ながら星の解説をするイベントを開催したりしています。
「一番身近なものは何か?」を突き詰めて、最初に制作したのは、
「星の一生」が絵で解説されたトイレットペーパー。
誰でも一日に一回以上は使用するだろうなぁと思って(笑)
製紙会社さんと交渉しながら制作しましたね。
後はLarge Scale Structure(宇宙の大規模構造)を絵にした扇子や、
天文学にまつわる「あすとろカルタ」などを作りました。
オンラインショップで購入することもできますよ。

ーートイレットペーパーに星の一生を描くって斬新ですね!ぜひ使ってみたいです。
元々、天文に興味があったということですが、小さい頃からプラネタリウムに
よく行かれていたのですか。

塚田:そうですね、プラネタリウムにばかり行っていたというよりは
科学館や水族館、歴史博物館などさまざまなところに
小さい頃両親に連れていってもらいましたね。
都会に住んでいたからか、自然の中で遊べるのが嬉しくて、
宇宙だけでなく、恐竜や虫、乗り物…どれも好きでした。
あとは本やテレビの影響も大きいです。
「子どもの科学」という雑誌を読んでいたのを覚えています。
母親が「ゲームはさせない」という方針で、クリスマスプレゼントに
ゲームがほしいとお願いをしても、朝起きると本が置いてあったり(笑)

ーー自然の中で過ごす時間も大切にされていたのですね。
何か特に影響を受けたテレビ番組はありましたか。

塚田:小学低学年の頃「銀河宇宙オデッセイ」という番組が放映されていて、
宇宙船に乗って研究者が旅をしていくドラマなんですが
「かっこいいな」と憧れました。
「核融合反応」という言葉が字幕で出てきて、
当時はどこで単語を区切るのかも定かではなかったのですが…。
それを見て、数ある興味の中から天文学への興味が突出し始めたと思います。

ーーそれは素晴らしいですね!
中には「やりたいことが見つからない」という子どももいると思いますが、
そんな子どもたちにはどうアドバイスをしますか?

塚田:まずは色々試すことですかね。
そのためには試せるような自由な環境が必要ですが。
本もよいけど、体験することが大事。
「百聞は一体験に如かず」ですね。
特に中学生の時期は、周囲に好きなことを堂々と言いづらい年頃かもしれないので、
なおさら何かに挑戦してほしいと思いますね。

ーー今後の夢はありますか。

塚田:「みんなで何かをつくりあげたい」という気持ちがありますね。
日本の各地域の「光の明るさ」度合いを測定し、
一覧にした地図をつくりたいと思っています。
根底には、「天文の面白さを伝えたい、もっと身近に感じてほしい」というのがあります。
プラネタリウムでの仕事はずっと続けていきたいですね。

☆☆☆☆☆

冷静で穏やかな印象の塚田さん。
天文について話し始めると、
今のお仕事・プロジェクト活動への「熱い思い」がひしひしと伝わってきた。
「あすとろカルタ」や夏に投影する作品のラフ案を見せていただいたのだが、
似た志をもつ人たちと「協働」して、ひとつのものを作り上げるプロなのだなぁと
感じずにはいられなかった。
子どもの頃に自然や、科学にまつわるテレビ番組、本と思いっきりふれあったことが
興味を広げ、「やりたいこと」の発見に結びついたのだと思う。

そして、彼は今、プラネタリアンとして、
子どもたちに「科学への興味のバトン」を引き継いでいることだろう。
posted by メイリー at 22:26| インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする