2013年07月03日

踏み心地のいい踏み台になりたい file.14

2013年春からシンガポールの人材紹介会社にて、
キャリアコンサルタントとして活躍している冨島真吾さん。
シンガポールで働きたいという日本人や、
シンガポールの日系企業で就職を希望する現地の人に対し、
企業とのマッチングをはかり、キャリア支援を行っている。
穏やかな笑顔の下に、熱い思いを秘めている。
そんな彼がシンガポールへ向かった背景に迫っていきたい。

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ーーこの仕事を選ばれた理由を教えていただけますか。

冨島(敬称略):前職では日本語教師として
「主にアジアから日本文化に入ってきた方の支援」をおこなってきましたが、
今度は特に「アジアへ飛び出そうとする日本人」・「国境を越えて行動したい人」を
支援したいという思いが芽生えました。
現在は、シンガポールの法人・シンガポールに支店がある日系企業のニーズを探りつつ、
国境を越えて求職している人のキャリアカウンセリングをしています。

ーーシンガポールを選ばれたのはなぜですか。

冨島:東南アジアの首都的な位置づけの国だからですね。
東南アジア全体に言えることですが、向上心の高い人がたくさん集まっている場所です。
実際に、色々なバックグラウンドの人がカウンセリングに訪れますし、
全員が英語を流暢に話せるというわけでもないです。
なので「シンプルな英語ではっきり自己アピールする」などの面接指導が必要で、
言語の壁を少しでもなくすため、来月から語学学校に通う予定なんです。

ーー働きながら語学のブラッシュアップも怠らないってすばらしいですね!
「国境を越えて働きたい人」の支援という分野を選んだきっかけはありますか。

冨島:昔から「国際交流」が好きで、自分の中に原体験のようなものがあります。
通っていた小学校が、オーストラリアの学校と姉妹提携していて、
国際交流が活発だったんです。
「異文化にふれるって楽しい」という思いが強まりましたね。
中高にいっても、OBとしてその活動をサポートしていました。
交流の最初って、日本人とオーストラリア人の子どもはすぐには交流しないんですが、
自分が間に入って、「どうしたら楽しんでくれるかな?」と
工夫を凝らすことで徐々に打ち解けていく。
そんな姿を見るのが楽しかったですね。
あとは、「日本を元気にしたい」という気持ちが強くて。
日本・海外どちらの舞台を選んだほうがキャリアに有効かという視点も大事ですが、
日本からもっと外に打って出る人、海外から日本に来て働くビジネスパーソンが増えて、
人材マーケットでの日本の国際競争力を高めたいと思っています。
一度海外で勝負して、失敗して打ちひしがれて日本に戻るという経験があっても、
それも後々必ずプラスになると思うんです。
海外で勝負したい人にとっての障壁を下げるために
自分にできることは何か?を常に考えています。

ーー「日本と海外の障壁を下げたい」という思いは、大学時代にもあったのですか。

冨島:そうですね。社交ダンスサークルの部長をしていたときに、
留学生が日本のサークルに気軽に参加してくれるようにと、特に心がけていました。
実際、多彩な国の留学生がサークルに興味をもってくれたのは嬉しかったですね。

ーーそんなことがあったのですね。以前は日本語教師をされていたとのことですが、
シンガポールの企業で働くことに迷いはありませんでしたか。

冨島:シンガポールに行くことには迷いはなかったですね。
元々海外で働きたいと思っていて、大学時代に海外で成功している日本人の方々に会いにいったことがあるんです。
彼らに自分の夢を話したとき、「卒業してすぐ海外で働くよりもいったん日本で就職したほうがよい」というアドバイスをいただきました。
当時の状況では、そのアドバイスは正しかったと思います。
そこで、就職活動では「自分の価値を高められるか」という軸で仕事を選び、
システムエンジニアとして社会人生活をスタートしました。
ですが、日本語教師に転身する際に、キャリアの観念が大きく変わって、
「自己成長」も大事だけれど、「本当に自分がやりたいこと」、
「海外と日本の架け橋になる仕事」で食っていこうと決めました。
もうすぐ結婚するのですが、シンガポールで働くことを
全面的に応援してくれている彼女には心から感謝しています。

ーーおめでとうございます。自分の進路を応援してくれる彼女さんがいるって憧れます。
海外に出て行こうとする日本人を支援する上での課題はありますか。

冨島:海外で働く日本人には2種類あるんです。
一つ目は日本の会社に籍を置いたまま海外で働く人。
もう一つ目は、自分の力で海外に出て現地採用を目指す人。
特に後者の人を支えたいと思っています。
私自身も後者に属するのですが、実は両者には給与など待遇に差があることが多いのです。
私の場合、幸運にもキャリアパスをしっかり描ける現地の企業と縁がありましたが、
現地採用の人に対して、「キャリアパスが明示されていない」という問題が発生することもあります。
そのため、「現地で働いて、ちゃんとキャリアを築けるんだろうか?」という疑問を払拭できず、
海外に飛び出すことを躊躇している日本人は一定数いると思います。
ですが、ここ最近で現地採用を目指す人たちの人材レベルが格段にアップしてきました。
そうした動向に合わせて、海外の企業も転換期を迎えています。
「海外で挑戦することでキャリアを高めていける」という風に、
海外での就職を悩む人の背中を押してあげたいですし、
私自身がそのロールモデルになりたいと考えています。

ーー課題とビジョンについて詳しく教えてくださり、ありがとうございます。
冨島さんの仕事のやりがいはどんなときに感じますか。

冨島:支援をさせていただいている方の「幸せそうな顔」を見たときです。
お客様が次の面接に進めて自信を得られたときに、やりがいを感じます。

ーー最後に、冨島さんがキャリアコンサルタントとして心がけていることを
教えていただけますか。

冨島:お客様の「人生の優先度」・「価値観」をじっくり聴くことを大事にしています。
優先度があいまいな場合は、一緒に過去や現在を振り返りながら、
価値観を明確にすることを心がけています。
また、ビザや税金の問題など、知識ベースのソリューションを
分かりやすく説明することも大切です。
日本にいて、これからシンガポールで働こうと考えている人は、
選考を受ける前にかなり慎重なケースが多いので、
そうしたメンタル面にも寄り添えるカウンセラーを目指したいです。
求職者と「一緒に走っていく」というイメージがあり、
その人がステップアップしていく上での「踏み心地のいい踏み台」になりたいなと思っています。
裏方の仕事が好きというのが自分の中にあるからですかね。

☆☆☆☆☆

「国境を越えて働きたい人たち」と真摯に向き合う冨島さん。
「国際交流って楽しい」、「挑戦していく人をサポートしたい」
そんな思いのルーツは小学生時代に遡る。
一人一人の価値観やニーズを丁寧に汲み取る姿勢と、
日本を活性化させたいというマクロの視点をもちあわせ、
語学学校に通うなど自己研鑽を続ける彼は、
今後多くのクライエントの方々から信頼を勝ち得ていくことだろう。

インタビューをおこなう中で、海外で採用されて働くことの「壁」が具体的に見えてきた。
その壁を打破するために全力を尽くす彼には、
数年後にもぜひインタビューをしたいと思う。
posted by メイリー at 22:35| インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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