2013年07月21日

extraordinaryな道をゆく官僚 file.16

中央省庁で人事担当者としてバリバリ働きながら、
外国人観光客に日本のよさを伝えるボランティアをおこなうNさん。
就職活動時には、現在勤務している省とオリエンタルランドの内定を得るという
異色の才が光る彼女。
人を喜ばせる「おもてなし」への思い、
そして自分だけの道を追求しようとする気概は、どこから生まれたのだろうか。

☆☆☆☆☆

ーー現在は人事担当ということですが、
具体的にはどんな業務に携わっておられるのですか。

N:この時期は採用のお手伝いをしていて、
国家公務員総合職試験合格者の説明会に出たりしていますが、
メインは人事制度づくりです。
これまでは色々な部署を経験し、4年目の現在、
人事の仕事は楽しいと感じられるようになりました。

ーーどんなところが楽しいですか。

N:後輩に接するときですね。女性の先輩の立場として、
「入社1,2年目の女性がちゃんと育っているか」を見るのも職務の一つになりました。
精神的に大変で休職し復帰する人のフォローをしたり。
ランチに誘って彼女たちの話を聞くこともあります。
つらくなってしまった原因として
「職場に女性が少なくて相談しづらい」という点を挙げる人もいました。
男女問わず相談しやすい環境づくりの途上ではありますが、
「悩みを吐き出せる場がなくて追いつめられる」という経験は少なくないようです。

ーー相談した方々にとっては、Nさんが心の拠り所でしょうね。
Nさん自身は、入社すぐの頃に大変だと感じた時期はありましたか。

N:職場に女性が少ないのは確かですが、面倒見のよい先輩方に恵まれていたので、
人間関係でしんどいと思うことは少なかったですね。
2年目のときの上司が厳しかったですが、いい意味で「女扱いをしない」人で、
褒めるべきときにはちゃんと褒めて評価してくれる人でした。

ーーそうだったのですね。
4年目になって「仕事」への向き合い方が変わったということはありますか。

N:これまでは別の環境にいきたいと感じたことも正直ありました。
でも4年目になって仕事がわかってきて、面白いと感じることが増えてきたんです。
年をとることで「現在あるもの」に対して謙虚になれるのかもしれませんね。
今の状況をいかに楽しむかという視点をもつようになりました。
人間関係でも同様です。最初は欠点が見えていた人でも、
接する中で良いところを見つけていくのが大切。
そして来年から2年間、省からの派遣で、大学院に留学できることになりました。
外国に行くのは昔から好きなのでワクワクしています。

ーー留学先でもますます新しい世界が広がりそうですね。
これまでも留学していたと聞きましたが、いつ頃どの国に行かれたのですか。

N:中学2年の夏にオーストラリアで数週間ホームステイしたことがあります。
でも当時は全然英語を知らなかったので、せっかくホストファミリーと会話をしても
なかなか意思疎通ができなくて…。
今思うと、怖いもの知らず過ぎたのかもしれませんが。
それからもっと英語や異文化のことを学びたいと思うようになりました。

ーー中学生のうちにホームステイに行くのは大きな決断だったのではと思います。
親御さんはNさんの挑戦を応援してくださっていたのですか。

N:そうですね。両親は「やりたいことは何でも試してみていいよ。
お金も気にしなくていいから」という方針でした。
お金を稼ぐ身になって、親に対して改めて感謝ですね。
親から否定されたという記憶はないですし、「勉強しなさい」と言われたこともなくて。
だから自発的に勉強に向かっていた気がします。
「どう子供を育てたらいいと思う?」と聞かれたら、
「放っておいた方が子供は自発的に動く」と答えますね。

ーー「何でも試してみていいよ。」って、
Nさんへに愛情をたっぷり注いでいらっしゃるのですね。

N:そうですね。私、律儀なところがあって、家族からの愛情には応えたいというか、
潜在的に「いい子でいたい」と思っている節がありました。
親が共働きで、おじいちゃんおばあちゃんに育てられたようなところがあるんです。
両親や祖父母を喜ばせたくて、
だから勉強もがんばるといった感じです。
押しつけのようなものではなく、純粋に「可愛がられていること」に恩返しをしたいなと。

ーー「家族を喜ばせたい」という気持ちがポジティブに働いていたのですね。
Nさんはとてもアクティブな印象なのですが、それもご家族の影響がありますか。

N:母親の影響が大きいでしょうね。
平日は帰宅が遅い分、土日は一緒に過ごそうと、
キャンプやスキー、旅行など色々なところに連れていってくれました。
3,4年かけて四国八十八か所を制覇したり。
仕事で大変なはずなのに、よくこんなに自分のために
時間や体力を費やしてくれたなぁと思います。
小学生の頃に国内は色々な場所を訪れたので、興味の矛先は海外に向いていきました。

ーー素晴らしいお母様ですね。中学以降はホームステイを経て
海外への興味がどのようにふくらんでいったのですか。

N:ある意味中学2年のホームステイで「無知の無敵さ」を発揮し、
「将来は国際的な職業に就きたい」「きっとこの分野が私は好き」と
直感的に感じたんですね。
そこでツアーコンダクターの夢が芽生えました。
高校生のときに社会人に職業インタビューする機会があり、
JTBの添乗員さんのお話を聞いたのも印象に残っています。
大学選びでは、「留学が1年間組み込まれている」という点に魅力を感じて
早稲田の国際教養学部を志望していました。
ですが、京大も合格したので、ネームバリューに弱いのもあり、
せっかくならと京大に決めました。
肩書にこだわる気持ちがあったんだと思います。
最近は逆に肩書のないところで、「人間力で勝負したい」という気持ちが高まっていますが。

ーー大学時代にはどんな活動をされていたのですか。

N:海外インターンシップや異文化交流を運営する、
アイセックという団体に入りました。
そこでは素敵な先輩や友達に出会うことができましたね。
「着物を着て外国人と交流するイベント」を企画したことから、
「着物」をはじめとする日本文化への興味も深まりました。
また、アメリカに1年間留学をして、マリア様のように懐の広いホストマザーに出会ったり。

ーーますます人脈が広がっていったのですね。深く影響を受けた人はいますか。

N:色々な人からインパクトを受けているけれど、
決定的に影響を与えられたというのはないかもしれません。
自分の中に独自のセンスというかこだわりがあるので、
そのまま取り入れずに、アレンジできる軸をもっていたいと思っています。

ーーなるほど。国際的なものに常にふれてきたNさんですが、
アイセックに入ろうと思った理由は何ですか。

N:日本的なもの、国際的なものの両方にふれたくて。
将来どこに住むかと考えたとき、
異国に移住したい気持ちもあれば、日本への強い愛着もあります。
海外志向と日本人としてのアイデンティティーが共存しているというか。
そうしたメンタリティーに合う活動を続けていきたいと思っています。
就職活動では、国際的なものに直結というわけではないのですが、
「人のために何かしたい」「喜んでもらいたい」という気持ちがずっと根底にあり、
その観点からオリエンタルランドや中央省庁を受けていました。

ーー「人のために何かをしたい」という気持ちは、
どこからわいてくるのでしょうか。

N:「分けてあげるのが当然」という家庭に育ったからでしょうか。
おやつを家族で等分して食べる家庭だったので(笑)
あとは、母親が困っている人がいたらすぐにその人の補助をしていたのも影響しています。
「人のために何かをやる」ことに快感を見出しやすくなったのでしょうね。
そして、打算的なわけではないですが、人のために行動していると、
それをどこからともなく「見ている人」は存在するんですよね。
「お天道様が見ている」という言葉にある通りです。

ーー「お天道様が見ている」っていい言葉ですね。
そうした思いを胸に、外国人観光客に皇居の周辺を英語でガイドするボランティアを
現在されているのですね。
今後の夢を教えていただけますか。

N:まだ具体的には決まっていませんが、外国人向け宿泊施設であるゲストハウスを運営して、
日本のホスピタリティーを伝えていくのも面白いかなと思っています。
漠然としていますが、「ほかの人がやっていないけれど
、人のためになることをやりたい」と思っています。
できるなら、自分の得意分野を極めて、それを生かしたい。
ある予備校の有名な先生が
「勝負をかけるなら自分が全力を出して1位をとれる分野で勝負しろ」と言っていて、
すごく納得したんです。
最近は気になる言葉をどんどんメモしているのですが、「なるほど」と思ったのが
Ted Nicholasという世界的なマーケッターの言葉。
"The world does not reward average people well, so I will be extraordinary."
私もextraordinaryな存在を目指していきたいと思います。

☆☆☆☆☆

彼女のアクティブな面、「人のために行動することを楽しめる」特性。
その背景には両親、祖父母の影響が多大にあったのだと感じた。
特に「困っている人を見かけたら、自然と補助をする」というのが
日常になっていたお母様の背中は、
どんな言葉よりも説得力をもって「人のために動く」ことの尊さを
Nさんに訴えかけていたのではないだろうか。

「自分だからできること」で相手を喜ばせたいという思いには強く共感した。
「可愛がってくれたことへの恩返し」という健気で純粋な心をもつNさんだからこそ、
「彼女のことを応援しよう!」という人たちが周囲にたくさんいるのだろう。

「国際的なものと日本的なもの」
両者を絶妙なバランスで共存させながら
extraordinaryな道を切り開いていくことだろう。
posted by メイリー at 18:01| インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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