2013年07月31日

人の生き様に寄り添う表現者 file.17


「学生時代から100名近くインタビューをおこなっている人がいる」
インタビューのご縁が広がり、インタビュアーの先輩にお会いできることになった。
彼女のブログ「1mm happiness」を読むと、
「ここまで深く一人一人の人物像を掘り下げられるなんて」と、ますます胸が高鳴った。
倉本祐美加さん。現在はIT系企業の社会人一年目である。
彼女がインタビューを始めた経緯や、こんな感性豊かな文章を書ける背景を知りたくなり、
インタビューを申し込んだ。

☆☆☆☆☆

ーー倉本さんはインタビューだけでなく、書評や日々の思いなど、
読み応えある記事をたくさん執筆されていますね。
昔から書くのが好きなんですか。

倉本(敬称略):そうですね。小中の頃は小説を、
高校時代では当時流行っていたケータイ小説から簡単な日記風ブログを書いていました。
そして大学2回生からブログを綴っていました。
中1のときに書いた小説はサスペンスもの。
弟が兄にコンプレックスを抱いて殺害してしまうという・・・(笑)
他にも友人の影響でファンタジー小説を書いたたこともありました。
いつか物書きになりたいと思っているんです。

ーーそれはダークですね!小説も書かれていたとは!
インタビューを始められたきっかけは?

倉本:「超」∞大学 という変な名前の団体(笑)の副代表をやっていたんです。
学生が社会人と交流して進路選択を広げられるようなセミナーや
ミュージカルの創作など色んな活動をしていました。
その活動が大学3回生の秋に一段落して、代替わりを迎えたんですね。
20名近くのメンバーがいるのですが、仲間意識がすごく強くて、家族みたい。
なのに全員と一対一では互いに深く分かり合っていないんじゃないか?って思ったんです。
そうした違和感と、「一人一人のことをもっと知りたい」という思いが湧いてきて、
メンバーを中心にインタビューを始めました。
聞いた内容を発信したくなりブログに書くようになって。
記事を読んだ別の友人から「あの子の知らない面が知れたよ」と反応をもらったり、
インタビューした人が「話してスッキリした!」と言ってくれたりしたときは嬉しいですね。
今は「インタビューが好き」というシンプルな気持ちが一番強いかな。

ーー「理解し合う方法」って色々あると思うのですが、
その中でもインタビューという手法を選ばれたのですね。
どんなところが好きなのですか。

倉本:自分にしか引き出せないものを引き出せるところですね。
一人っ子なので独占欲が強いのも影響しているのかも。
あとは「お得」なところ。
普通の会話では深掘りできない話題でもどんどん聞けて、コアなところを共有できるから
あまり会ったことがない人とも距離感を縮められるんです。
私、大勢の前で自己主張するのは苦手なんですが、
1対1だとリラックスして話せるんですよ。

ーー超∞大学の活動はどんなきっかけで始められたのですか。

倉本:大学1回生のとき、 自分の大学生活に満足ができなくて、悶々としていたんです。
ちょうどそのとき始めたmixiで、同じ大学のキラキラした3人の先輩をたまたま知ったのですが、
彼らがこぞって告知していたのが、「超」∞大学が主催している「超」就活セミナーというものでした。
自分も行ってみたら「仕事観」が根本からがらっと変わりました。
実は、これまでは家族に仕事で体や心を病んだ人間がいるという家庭環境や、
初めてのバイト先で目にした理不尽な人の扱い方などから、
仕事に対してネガティブな印象を持っていました。
でも、そのセミナーで出会った社会人の方々は心底、仕事を楽しんでいるようで、
運営スタッフもキラキラ輝いていたんです。
その姿に憧れて運営側として参加することになり、
途中で代表から「副代表をやってほしい」とのオファーを受け、引き受けることにしました。

ーーそのときはどんな気持ちでしたか。

倉本:心から尊敬していた代表を支えたいという気持ちでいっぱいでした。
あと、どんどんメンバーが増える中、彼らが団体に居心地の良さを感じて、
どんどん積極的に活動に関わってくれるようになる姿を見るのもうれしかったです。
「今日のMT行きます。」ってメールが来ただけでにやけてました(笑)
代表がカリスマリーダー的存在なので、私は彼女とメンバー達との「つなぎ役」という感じでした。

ーー小さい頃に、ご自身に影響を与えた人とか出来事ってありましたか。

倉本:高1のとき人間関係でつまずいた経験は大きく影響を与えていると思います。
それまではクラスメートの顔ぶれも変わらないし、友人関係で困ったことはなかった。
ですが、高校で環境ががらっとかわり、突然グループから外された感じになり、
むりやり「グループに入っているフリ」をしていました。
当時は1人でいる勇気もなくて・・・。
それ以来、人の気持ちを敏感に察知するようになりましたね。
輪から外れている人をほっとけなくなったというのもあります。
相手のニュアンスを「汲み取る」ことを大事にするようになりましたし、
感情表現も豊かになったかなと思います。
付き合いが深い友人たちから「そうそう、それが言いたかった。もっちはわかってくれるなあ。」と言われることも多いのですが、この経験があったからかなぁと。

ーーそんな経験があったのですね・・・。
輪から外れた人をほっとけないというのに、とても共感するところがありました。
倉本さんのブログを読んでいて感性豊かだなぁと感じていましたが、
読書もお好きだと伺いました。どんな本を読まれるのか興味があります。

倉本:幼稚園の頃から本は大好きで、書店に毎週通っていたこともありました。
中学では漫画、高校では小説を読み耽っていて、
大学生になってからはビジネス書も雑誌も、幅広く読み始めました。
その中で好きな本は「自助論」です。読むたびにちゃんとしなきゃって思います。
あとは岡本太郎さんの「自分の中に毒を持て 」。
それに加えて『Tokyo Dream』という作品も好きです。

ーーいつか物書きになりたいとのことですが、
具体的にどんな分野を目指されているんですか。

倉本:小説もエッセイも書きたいし、インタビューも続けていきたいし
素敵なお店を紹介する記事も書きたい・・・って全部ですね(笑)
特に「日の当たらない方」にスポットを当てたいなと思っています。
コンビニでバイトをしていたとき にある日たまたま遭遇した、
ゴミ収集をしているおじさんたちが毎日楽しそうに働いていたのが記憶に残っていて。
あまり社会的に目立つ職業ではないけれども、
自分なりにやりがいを見出して働いている人の魅力を引き出したいなと思っています。
あとは、表現者の話をもっとお聴きしたいですね。
アーティストさんは、何らかの生きづらさを背負ってる方が多いと思うのですが、
嘆くでも迎合するでもなく、自分なりの表現手段を見つけて昇華している姿にすごく惹かれます。
彼らの感じ・考えていることにもっともっと迫ってみたいです。

ーー表現者のインタビューもすでにたくさんされていますよね。
美術館に行くのも好きとお聴きしました。

倉本:美術館、好きですね。
大学生になってから少しずつ芸術の良さがわかってきました。
絵を鑑賞するのももちろんですが、作者の背景に思いを馳せるのが好きです。
「この人はどんな気持ちでこの絵を描いたんだろう?」って。
平日は混まないので来客が鑑賞している様子を見て、
その人の人生の物語を想像することも多いです。
あと、自然にふれることや寺社に行くのも趣味の一つ。
意識的に感性を磨くためのインプットを増やすように心がけています。
私の好きな言葉に「感性(センス)は情報量に比例する」というのがあって。
相手の気持ちを理解できる幅も広がりますしね。

ーー最後に、大学生へのメッセージをお願いします。

倉本:「好きなことは無理せずできる」という言葉でしょうか。
自分が当たり前にやっていることで、
他の人から「こういうとこいいよね、すごいよね」って言われることこそ大切にしてほしいです。
頑張っている意識がなくても自然体で続けられていることって、
その人の持ち味を一番発揮していると思うので。

☆☆☆☆☆

「直感って実は一番ロジカル」
「感性(センス)は情報量に比例する」
これらの言葉が私の心に染み渡り、じわじわと共鳴を呼び起こしていく。

これまでの人間関係やサークル活動、本、美術・・・あらゆるものから、
彼女の鋭敏なアンテナで、「大切なもの」をつかみとっていき、独特の感性で表現していく。
彼女が表現者に惹かれるのは、
彼女自身が常に自分と他者の深いところに向き合える表現者だからではないだろうか。

明るく生き生き。
それでいて「ネガティブ」と思われるものにも意義を見出していく。
そんなアンビバレントな気持ちを抱えている彼女だからこそ、
多様な価値観を受容し、その人なりの魅力を引き出すことができるのだと感じた。

これからも変化し続けていくであろう彼女の表現を、
今後もずっと応援していきたい。
posted by メイリー at 14:02| インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする