2013年09月07日

子どもたちがワクワクする居場所の開拓者 file.23

塚越暁さん。リクルートで勤務する傍ら「子ども原っぱ大学」を立ち上げ、
2013年秋から「子ども原っぱ大学」の活動に主軸を移す。
「秘密基地づくり学科」、「ホンキのカメラ学科」など、大人でも楽しめそうな授業が目白押し。
「こんなワクワクする世界観を、どんな思いで作り上げておられるんだろう?」
その答えに近づくために、インタビューを申し込んだ。

☆☆☆☆☆

ーー「子ども原っぱ大学」を立ち上げた経緯を教えていただけますか。

塚越(敬称略):就職活動の時期に、「仕事をするからには、この世の中を未来につないでいきたい」と思ったことがベースになっています。
最初は世界規模のプロジェクトに関われる商社を志望していましたが、
OB訪問で「商社に行くには商うことに興味がなければ厳しい」という現実を見ました。
そんなとき、リクルートの「Follow your heart」というキャッチコピーに出逢ったんです。
「日本の一人一人が、個性を大事にして自分の進む道を判断できる社会をつくっていこう」というメッセージに強く共感し、リクルートへの入社を決めました。
最初に担当したのは雑誌の編集。
車や通販、そして妊娠・出産の雑誌など様々なジャンルの雑誌に携われて、
自分の理念に近いことができているなぁと、充実した日々でしたね。
ですが、あるとき、自分の立ち上げた媒体がすぐに廃刊になった。
コンテンツはかなり自信のあるものだったにもかかわらず。
そこで「いくら良いものを作っても自己満足ににすぎない。事業にすることが大切。」と気付き、
経営や事業企画に近い仕事へシフトしていきました。
経営層の近くで働けたのは本当に良い経験でしたが、
大きな収益につながる「仕組み」を作るという役割に対し、
「これは本当に自分が目指した姿だったっけ?」という疑問が立ち上がって・・・。
ちょうど3.11の震災の影響もあり、「自分にとっての意義」を考え始めました。
そんなとき、「グリーンズ」というソーシャルなWebマガジンを通じて、
「自分だけのマイプロジェクトを立ち上げよう」というマイプロ学科という授業のことを知りました。
仕事をしながら、自分のやれる範囲で社会貢献を目指すというのに、「これだ!」と思って。

ーーマイプロ学科では、どのような学びがあったのですか。

塚越:「U理論」という個人の志向を掘り下げる手法を用いて、
自分の興味と強みを生かせるプロジェクトを具体化していくのですが、
「僕が一番ワクワクする瞬間とは?」という問いととことん向きあいました。
すると、生まれ育った逗子で、子どもたちと遊んでいる情景が浮かびました。
当時、幼稚園に通っていた長男と葉山の海でシュノーケリングをしたんですが、
水が本当に透き通っていて。
水中で小魚の群れに囲まれて、太陽の光がキラキラと差し込んで・・・。
これが強烈に印象的な体験で、原体験と呼べるものだと思います。
山や海で自然と戯れたり、ダンボールで秘密基地を作ったりという遊びが昔は大好きだったのに、
日々の仕事に忙殺されて忘れかけていたんですね。
サーフィン以外の場面で自然とふれる機会は減ってしまっていた。
子どもが生まれてから、再び自然にふれるようになり、
「自然の中で遊ぶことって楽しい」という気持ちを思い出すことができました。
親も子も一緒に楽しめる遊びの場をつくりたい。
この思いに、参加者のみんなも賛同してくれて、それが「子ども原っぱ大学」の原型ですね。
また、マイプロ学科で出逢った仲間たちとは今も繋がっていますし、
「子ども原っぱ大学」のスタッフも、ここで見つかりました。

ーー原体験から「本当にやりたいこと」を具体化されていったのですね。
小中高の頃は、どんな子ども時代を過ごされたのですか。

塚越:小学校の頃と今が一番自由な感性を持てていると感じます。
中高も楽しかったけれど、今振り返ってみると、
勉強やスポーツといった枠にはめられていく面があった。
高校ではラグビーに熱中して、大学受験もゲームだと思ってクリアしていく瞬間は楽しかった。
社会人になってからもがむしゃらに夜遅くまで毎日働いて。
ですが、今「子ども原っぱ大学」の活動一本に絞って、自分らしいと思える暮らしをし始めてみると、
中高や会社勤めの頃は「社会に合わせることありき」だったなぁと。

ーーそうだったのですね。会社員として忙しい日々を送る中で
「子ども原っぱ大学」の活動との両立に踏み出すのは勇気がいったと思うのですが、
そのときの心境はどうでしたか。

塚越:まずは「自分を応援してくれる仲間を見つけよう!」というのが目標でした。
「こんな活動を始めるんだ」と周囲に宣言すれば、やらざるを得なくなるので、
あえて自分を追い込んでいましたね。
そして、ベストパートナーである、スタッフののだけん(野田 賢一さん)がいてくれたのは大きかったかな。
彼は人の話を聴くのがとても上手で、彼との対話の中で、
今の活動が具体的に形作られていきました。
やりたいことを「いつ」やるのかを決めて、タスクに落とし込んでいけたのは彼のおかげです。

ーーそのような素晴らしいパートナーに恵まれているのですね。
スタッフの方々も含めて、塚越さんには良い出逢いがたくさんあったかと思いますが、
良い出逢いを呼び込んだものは何だと思いますか。

塚越:そうですね。「自分でやることを決めて、言い続けることと動き続けること」でしょうか。
あとは、回りの人の意見に謙虚に耳を傾けること。
意見を選り好みせずに、素直に受け止めるよう心がけています。

ーー大事な心がけを教えていただき、ありがとうございます。
「子ども原っぱ大学」の活動は、子どもを一人前扱いしたプログラムばかりで、
「秘密基地づくり学科」という風に、切り口も斬新だなぁと感じていましたが、
プログラムはどうやって企画されているのですか。

塚越:企画の判断軸は、「僕自身とスタッフが楽しいと思えるかどうか」です。
あえて子ども目線では考えないようにしています。
リクルートで妊婦やママを対象にした雑誌を編集していたときは、
ひたすら読者のことを想像し、「どうしたら喜ぶか」を考え続けていました。
ですが、マイプロジェクトは、共感をレイヤーに広がる事業なので、
こうしたマーケティング視点を重視せずに、自分軸で推し進めようと思っています。

ーー自分の心に素直に従っていらっしゃるのですね。
最初のイベントを実際にやってみると、どうでしたか。

塚越:いざ形にしてみると「本当に共感を得られるの?」という不安が出てきたんですね。
集客をどうするかという段階で、最初はFacebookで告知するのに躊躇いがありました。
本音をさらけ出していない人も見ているのに、と思って。
ですが、ありったけの勇気を振り絞って公開したら、色々な人から「いいね!」をいただいて、
シェアもしていただきました。
告知後1週間でたちまち定員に達し、自信になりましたね。
イベントを実施して衝撃第2弾が起こりました。
それは「お金が動いたこと。」
17,18組の家族が参加して下さったのですが、10万円弱の売上げとなりました。
利益は出なかったんですけれど(笑)
会社の看板なしに、仲間と作り上げたコンテンツに満足していただけた瞬間は、
まさに価値を生み出せた瞬間なのだなと。
そこから色々なイベントをおこない、「これで食べていきたい」という気持ちが強くなり、
この活動をどうすれば継続的ビジネスにできるか、本格的な検討を進めています。

ーー継続的なビジネスにする上で、課題だと思っておられることは何ですか。

塚越:週末の単発のイベントはなかなか収益の柱にはしづらいという現状があります。
一度、プロのカメラマンによる3日間のカメラ講座を開催したのですが、
1日のイベントとは質が違いました。
やはりくり返し、一定期間をかけて活動しないと、子どもたちの経験は広がりにくいんだなと。
息子の生活を見ていても、サッカーや水泳、ピアノ・・・あとは受験に勝つための塾という風に、
選択肢が限られているなぁと感じています。
ここに「新たな習い事」の潜在ニーズはあるんじゃないかと思っていて、
子どもが平日の放課後に本格的に好きなことを極められる大学をつくりたい!という気持ちが強まっています。
もちろん、親御さんは成果が見えやすいものにしかお金を出したがりません。
塾に行っていい大学・いい会社に行って・・・という親自身の成功体験に則って子どもの選択肢を決めてしまう。
そんな環境の中で、どうやって「体験」にお金を払っていただくか。
これはかなり腰を据えて取り組んでいくべき課題でしょうね。

ーーなるほど。独立して活動していくには「呼ばれる瞬間」というか、
タイミングのようなものがあるのでしょうか。

塚越:「呼ばれる瞬間」、ありますね。
雪だるまのように縁が縁を呼んで、流れに乗っていって、独立のタイミングがきたなと感じます。
このタイミングは人それぞれでしょうね。
スキルやネットワークも必要ですし、僕の場合は10年の社会人経験があるからこそ、
しがらみのない働き方を今選べているのだと思います。
そして、最近、素敵な変化が起きているんですよ。
会社を辞めた当初は「アウトプットを出さなきゃ!」という焦りがありましたが、
今は「もう少し肩の力を抜こう」と思えていて、
人生の残された時間に間に合うように、変化を受容しながら、
ワクワクする目標を成し遂げていこうという考え方になっています。
3日後には、また違った考え方に変化しているかもしれませんね。

☆☆☆☆☆

「わくわくする気持ちを大事にし、子どもの可能性・主体性を心の底から信じてる人」
お話を伺ううちに、塚越さんのそんな姿が浮かび上がってきた。

きっと「子ども原っぱ大学」に参加した子どもたちは「本物の生きた授業」を受けて、
大人顔負けの「本気」の表情を見せていることだろう。

ワクワク感を伝播させ、日々挑戦を続けている彼の姿に、
共感者や仲間が集まり、雪だるまのように「良き縁」がふくらんで、
彼のプロジェクトの後押しとなっているのではないだろうか。

子どもも大人も思い切り何かに打ち込める「体験」ができる貴重な空間は
私の目には「宇宙」のように無限大の可能性を秘めていると感じた。

今後も「子ども原っぱ大学」の活動に注目していきたい。
posted by メイリー at 19:05| インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。