2014年01月26日

ソーシャルアーティストの繋がりを生み出すイノベーター file.35(後編)

ーー在学中に予備自衛官補の訓練に参加されていたとのことですが、
参加のきっかけは何だったのですか。

柚木:阪神淡路大震災で自衛官にお世話になったことが影響しています。
自分も緊急時に人の役に立てるようになっておきたいと思ったんです。
予備自衛官補は、緊急事態が起きた時に派遣される立場なのですが、50日間訓練を受けます。
行進や敬礼、空砲などの訓練があり、5種類のほふく前進があることを学びました。
学生生活とはまったく異なる生活を送り、
自衛官たちが自分たちの仕事に誇りをもっていることが伝わってきて、
本当に貴重な経験だったと思っています。

ーー5種類も!本当に多彩な経験を積まれていたのですね。
農林水産省で働き始めてからはいかがですか。

柚木:最初は雑用も多いのですが、仕事の経験を積むにつれ、
上司のすごさや仕事の大変さがどんどん分かってきて、
どんなことでも「目の前の仕事に一生懸命に取り組まないのはカッコ悪い」という思いが強くなりましたね。
2年目の頃に省庁の外にも目を向けようと思い、色々な交流会に参加するようになり、
自分で勉強会や交流会を主催し始めるようになりました。
この時期のインプットがあったからこそ、似た志をもつ仲間と出逢い、
芸術家の村というアウトプットにつながったのかなと思います。
立ち上げ時にはかなり多忙な部署におり、午前1時や朝帰りがざらだったので土日の活動がメインでした。
でも当時は疲れを感じなかったですね。
ナチュラルハイだったのかもしれません(笑)
ソーシャルビジネスラボ(SBL)を作ったのは、活動を続けるためでした。
継続的な活動を実施するには「拠点」が必要だと感じたんです。
このスペースは自分たちの部屋と、企画のためのスペースが併存しているのですが、
一緒に住めば終電で帰っても打合せができますし、何か企画をたてても明日から取り組める。
打合せのためにカフェを探すのは、貴重な時間とお金がかかってしまいますし。
また、他の団体にも「場」のニーズがあるのではと思い、スペースの貸し出しをしています。
そして「場」に集まってきた人同士の交流を促進すれば、
もっと面白いことが生まれるのでは?と思っています。
人のつながりのハブになれば幸いです。

ーー最後に、将来のビジョンを教えていただけますか。

柚木:東日本大震災の対策において、外部から入省された元研究者の方がおられたのですが、
彼女の人脈や知識が他の方では変わることができない役割を果たしているのではと感じました。
この方のように、唯一無二の専門性をもった、組織において代えがたい人材を目指したいと思っています。
そのためには周囲の人とは異なる経験を積む必要があるなと。
まずは、NGOの活動を続けて、面白そうな実験を1つずつ実現させていくこと。
そして、農水省で専門性を高めながら、
農業のポジティブなブランディングに寄与できるように「デザイン」にも関わっていきたいです。
農林水産業の分野でもNGOが立ち上がったり、起業する人が増えていたりと注目されているので、
こうした動きが活発化していくようにと思っています。

☆☆☆☆☆

農林水産省とNGOという場で、
マクロとミクロの視点で「人の役に立つこと」を追求されている柚木さん。
課題を俯瞰的に見て調整していく力と、個のニーズに寄り添っていく力を
バランスよく兼ね備え、忙しさを苦にせず、夢を現実に変えていく。
そんな姿に惹かれて、未来のイノベーターたちがSBLに集まっていくのだろう。

文理の垣根や国境を越えた興味分野・得意分野の広さと奥深さ。
その背景には、日本の小中高時代での「出る杭は打たれる風土」を
打破したいという思いがあるのではないだろうか。
既存の枠にはまらずに、世の中へ新たな価値を生み出していくと同時に、
生み出す人たちを全力で支援し繋げていく。

私自身、「成長と創造の場づくり」に興味をもち、キャリアワークショップを始めたため、
彼の熱い想いへの共感と尊敬の念は日に日に増していくばかりである。
今日もまたSBLで新たな化学反応が生まれていることだろう。
posted by メイリー at 16:32| インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする