2014年10月06日

「夢実現力」で道を切り開くライター兼モデル file.53

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心斎橋筋商店街振興組合の広報として、
大阪・ミナミの魅力を伝えている永田尚子さん。
公式ブログ「IN THE GROOVE」では、20代女子ならではの視点で、心斎橋の「今」を発信している。
街遊び情報誌「大阪スケジュール」にてコラム「今月の気になる大阪」を連載するほか、
フリーランスのモデルとしても活躍している。
結婚を機に今後の生き方について考えたと言う。

「住む場所を問わず自分らしい仕事を創りだし、
文章を紡いでいけたらと思っています」
そう語る彼女の生き方を詳しくお聞きしたくて、心斎橋筋商店街を訪れた。

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ーー尚子さんは子どもの頃、どんな子でしたか。

永田尚子さん(以下敬称略):近所の同級生が男の子ばかりだったこともあり、
ドラゴンボールごっこや缶蹴りをして遊んでいました。
おままごとをした記憶はあまりないですね。
幼稚園では女の子の輪に入っていきづらく、人見知りを発揮していました。
小中学生の頃も、男子に混ざってゲームばっかり(笑)

ーーなんだか意外です(笑)
元々読書がお好きとおっしゃっていましたが、
小さいときから本が好きだったんですか。

永田:父の口癖が「買いたい本があるのにお金がたりないときはいくらでもあげるから言え」というもの。
本についてはお金に糸目をつけない方針だったんです。
父も読書家だったので、父の背中を見ていましたね。
特に博学なタイプでもないし、家に巨大な書棚があったわけでもないですが、
本好きな父のおかげで、書店に行くのも好きになったし、
本好きが加速したと思っています。

ーーなんて素敵なお父様!夢中になったジャンルや本は何でしたか。

永田:江國香織さんの小説に夢中になり、全小説を買い占めて読破しました。
言葉のセンスや、文章に封じ込めている空気感に魅了されて…。
大学では英会話を学びたかったのに、英語の歴史や文法規則の解明に興味がもてず、
日本文学のゼミに入ったのですが、
レポートで、三角関係をテーマにした『落下する夕方』を取り上げたことがあります。
関西気質な西加奈子さんも全巻揃えました。
気に入った作家さんの本はコンプリートして完全保存版にするタイプなんです。
小説は読み返すたびに、違う箇所に引っかかるし、新たな味わいがあるんですよね。
最近はビジネス書などを読むことが増えましたが、
友人の相談にのるときも、「この本読んでみて」と
アドバイスがわりに本を渡すことが多いです。

ーー江國さんの本、私も好きでした。相手の状況に合った本のプレゼントっていいですね。
高校、大学時代はどんな風に過ごされていましたか。

永田:高校生の頃は、学校へ行くふりをして京都へ一人旅に出たり、
カフェで本を読み耽ったりと自由に過ごしながら、
提出する課題やテスト勉強はしっかりやるという要領のいいタイプでした。
親もあまり干渉してこなかったですし。
大学4年間は、自由な校風だったこともあり、
ありのまま好きなことに挑戦して過ごせた気がします。

ーー高校時代からモデルをされていたとのこと。
モデルを始めたきっかけと、モデル活動で感じていたことをお聞かせいただけますか。

永田:小中高と団体行動や友人関係が苦手で、
どこか学校に馴染めないところがあったんです。
なので、高1のとき、校外の新たなコミュニティーを探そうと決めました。
ダンスは習っていましたが何かに打ち込んでいたわけではなく、
「背が高いしモデルに応募しようか」と思い立ち、
ファッション誌が募集していた「1日ファッションショー」に応募。
ショーには出られなかったのですが、当時のモデル事務所の社長から
レッスンを受けてモデルをやってみないかと言われ、
ウォーキングやポージングのレッスンを無料で受けさせてもらうことになったんです。
今でこそモデルは若年化していますが、当時は17歳の私が最年少で、
24歳以上のお姉さんたちにかわいがってもらい、今まで見たことのない世界にふれることができました。
モデルって実は個人プレーな面があり、体型維持は自分との闘いでしたね。
野菜スープだけ飲んでいた日や、2年間お米を食べないという時期もあり、
一時はダイエットに取り憑かれていました。
仕事の有無も自分自身にかかっていたので、「株式会社自分」を運営している感じですね。
過酷でしたが、自分と闘いながら仕事を得ていくというのが、自分には合っていました。

ーー想像を越える過酷さだと思うのですが、それが合っていたのですね。
大学時代までの間に、ご自身の価値観や生き方に影響を与えた出逢いってありましたか。

永田:文通の楽しさを教えてくださった神吉一寿さんには影響を受けました。
高校時代に友人のパーティーで偶然出逢ったのですが、
「ハガキを送ると幸せになれる」と教えてくれて。
それ以来、お礼状はもちろん、近況を記したハガキを色々な方に送るようになりました。
ハガキをもらうと嬉しいんですよね。
手描きの文字は温かみがあり、郵便受けに届くそのぬくもりは私の人生を豊かにしてくれました。

ーー手描きならではの温かみですか。
大学卒業後、心斎橋筋商店街の広報になろうと思った経緯を聞かせてください。

永田:高校時代、心斎橋の魅力をPRするトップレディーに選ばれたことがあり、
そのご縁で大学4年生のときにアルバイトをしていたんです。
就職活動をしていてもどこかの企業の事務職などよりも
広報的な仕事をやりたいと思い、心斎橋筋商店街組合の人たちに
広報をぜひやりたいと伝え、HPのリニューアルやスマホサイトの開設など、
コアターゲットの「20代女性」に響く発信方法や企画を伝えていきました。
心斎橋のお店紹介を書いていたブログが評価されたこともあり、
広報のポジションを作っていただき、1年後には社員に登用されました。
歴史ある商店街が時代に合わせて変化していくタイミングに
等身大の感覚で仕事に臨んでいく自分を必要としてもらえたのはラッキーでしたね。

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ーー広報の仕事を通じて現在はライターとして
多彩な仕事に携わっていますが、
ライターをされる中でのやりがいと、大変だと感じるものについて教えていただけますか。

永田:「永田さんの文章が好き!」と言われることが何よりの喜びです。
書いた文章は自分の子どものように思っているところがあるのかも。
現在、大阪のフリーペーパーの「今月の気になる大阪」というコラムを書いているのですが、
日々勉強できて、非常に貴重な機会をいただけていると思います。
40秒ほどで読める800字程度のコラムを書くにも、資料の読み込みや、取材時の移動距離、
執筆のための時間、執筆に至るまでの過去の経験…など、
背景に莫大なものが必要だと改めて気づきました。
コピーライターの方なんて、ほんの1行のために何千ものコピーがボツになる。
書き手に限らず、スポーツ選手も花火職人も同じく、実作業は地味なので、
表面だけ見ると楽な仕事と思われがちなんですが、
その裏には色んな経験や練習の積み重ねがあるんです。

ーー「これから出産・育児を経ても、どんな場所でも自分らしい言葉を紡いでいきたい」
という言葉に共感を覚えました。

永田:夫の転勤で大阪を離れる可能性もあるので、
「どの土地でも自分らしい仕事を」というのは大事にしていますね。
結婚してものの見方が変わったので、
今後出産したら、また新たな変化が訪れるのではと期待しています。

ーーライターに限らず、どの土地に言っても続けたいことや挑戦したいことはありますか。

永田:地域の商店街の魅力を伝えるというのは軸の1つです。
職業病なのか、県外に行っても商店街が気になってしまいます。
商店街の事務所に寄ったり、フリーペーパーをもらったり。
もし例えば東京に引っ越したら中野ブロードウェイに履歴書を持っていくかも(笑)
一番好きなのは麻布十番商店街ですが。
郊外なら魚屋や漬物屋がある昔ながらの商店街の活性化にも興味がありますね。
商店街って、そこで商売を営む人たちの顔が見えて、味があるんですよね。
老舗だと同じ人がずっとそこにいるし。
ショッピングモールなどとは違ったよさがあるなぁと感じています。
海外に住むことになったら、日本人読者むけに海外レポートを書くのもよいし、
いずれは週末の朝だけ朝食を出すカフェを開きたい。
私自身、活字に感銘を受けて突き動かされたり、考え方が変わったりと
色々な刺激を受けてきたので、
巡り巡って誰かの気持ちを動かすきっかけになる文章を書きたいと思っています。
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時代や周囲のニーズに合うオリジナリティーある企画を
どんどん実行に移し、広報そしてライターとしての道を切り開いてく。
目の前にあるご縁を、人一倍大事にされているからこそ、
周囲の人を自然と巻き込み、応援者に変えていくことができる。

彼女の底知れない「夢実現力」を支えるのは、
モデル時代に自分自身と闘いながら自分を磨いていった経験があるのではないだろうか。

まさに「株式会社自分」の運営によって培われた「自分らしい仕事を生み出す力」により、
モデル、広報、ライターとして、彼女の輝きは一段と増していくのだと思う。

結婚や出産など、女性のライフスタイルの変化に応じて
「自分の見方が変わっていくこと」を受容し、
その変化を自然体で楽しもうとする姿勢に、深い感銘を受けた。

今日もまた彼女の感性が紡ぎだした文章によって、
心を突き動かされる人がいることだろう。
posted by メイリー at 23:19| インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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