ドキッとさせられる問いに、
一点の曇りもなくYesと答えられる人はどれだけいるだろうか。
「“自分らしさ”や“在り方(Being)”を大事に生きて欲しい」
そんな願いを、実現しようとしているNPO法人、full bloom。
学生から30歳までの若者に対し、Beingを大事に生きていく力を身につけていけるようなプログラムの開発・実践をされている。
教育×キャリアインタビューに登場していただいた西尾早苗さんから
full bloom のお話を伺って以来、ずっと気になる存在だった。
そのときの記事はこちら
一人一人の可能性を開花させるキャリアカウンセラー file.49(前編)
2015年3月14、15日に私はBeing Sessionに参加させていただいた。
Being Session とは、「Being Camp 〜自分らしさを仲間と探す2日間〜」という、
月1回、計13回開催してきた学生向けのプログラムを
社会人向けにアレンジしたものである。

この素敵な場を多くの大学生・若手社会人に伝えたいという
兼ねてからの思いは、願いを越えて「確信」になった。
full bloom の理念や活動内容はHPやFacebookをぜひ参照してほしい。
今回は、メンバーがfull bloom を立ち上げるまでに携わってきた仕事や活動と、
そこで何を感じてこられたのかを中心にお聴きし、
full bloom の活動の中で感じた想いを言葉にしていただいた。
メンバー紹介はこちら
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ーー今回は少しずつになってしまいますが、まずは此下友佳子さんから、
これまでの経験について、主にお仕事の面でお聴きしたいなと思います。
組織変革コンサルティングを主な事業とするリンクアンドモチベーションに新卒時に
入社しようと決めたきっかけって何でしたか。

此下友佳子さん(以下、此下):きっかけは、会社の「ひとりひとりの本気がこの世界を熱くする」というメッセージに心を動かされたこと。
モチベーションという、自分を突き動かすものは本来非常に大切なものですが、
それが大切にされていない現実に何かアプローチできたらと思ったんです。
モチベーションは目に見えないし、人によって様々。
答えのないものをつくるのは大変だけれども楽しい。
今ではまた別の表現ができるかもしれませんが、
当時は「強い組織づくり」に携わりたいという気持ちが強くありました。
私の中での「強い組織」は、組織を構成する個人の夢と、組織のビジョンが重なっているイメージです。
また、この会社に入ろうという後押しになったのが『僕たちのマイルストーン』という採用の冊子でした。
各部署で活躍する社員ひとりひとりが、自分の今につながった原体験を赤裸々に語っていく内容で、
そこに綴られた色んな生き方にワクワクしたんです。
「パリには本物の絵を描く画家が多い」という好きな言葉があるのですが、
それはパリにいれば、本物の作品を見続けることができるから。
私も「本物」を見続けて、「本物」を見出せるようになれたらと思っています。
ーー人も組織も、「答えがないけれど本質的に大事なもの」に関わりたいという気持ちがあったのですね。
此下:元々、すでに形のある商品ではなく、無形のものを売りたいという思いがありました。
人や組織のコンサルティングは、コンサルタントの知識の多さだけでなく、
その人の意識、考え方という「心」の部分も重要なので、まさに「自分」で勝負しないといけない。
組織の中で、個人がどう束ねられて結果を出していくかを探究しながら、
ゼロから答えがないものをつくっていくプロセスに面白さを感じていました。
ーー現在は、full bloom の活動やコーチングなどをフリーランスという働き方でされているとのこと。
友佳子さんがフリーを選ばれたのはどんな理由からでしょうか。
此下:私の中で「組織」というものの定義が変わったのが大きいですね。
会社組織での決められた役割によるつながりよりも、フリーランスとして、
自分ならではの強みで人とつながっていくことの方が、今の私には合っていると感じました。
「強い組織づくり」を第三者ではなく直接担いたいとの思いから、一度転職したのですが、
組織という枠にはまらなくてはいけないという点に、少し窮屈さを感じていたんです。
フリーランスになってからは、自分を起点にして、色んな人とのつながりが円のように広がって、
広がり同士がつながっていく… そんな状態に変化してきました。
ーーフリーになられてからのお話はいつかもっと詳しくお聴きしたいです!
次は、田村篤史さんにお話を伺えたらと思います。
以前、京都移住計画の取材に同席させたいただいたときに自分事のテーマとして「キャリア、ローカル」を挙げていたのが印象的でした。
その理由をぜひお聴きしたいなと。

田村篤史さん(以下、田村):キャリアやローカルのテーマが面白いというのに尽きるのですが、
「自由であること」が僕にとって大事だからだと思います。
例えばローカルのテーマだと東京で働いていたときは、通勤ラッシュから逃れられなかった。
改めて強く感じたのは、「もっと楽しくいられる状態を選びたい」という願望。
「ありたい環境」を自分で選び取びとる、
なければそれを自ら作り出せるライフスタイルを大事にしたいですね。
どんどん外へ広げていこう!というよりは、
自分の想いに共感して、「一緒にやれそう」と思いあえる仲間とやっていきたいという思いが強いです。
ーー自分で「ありたい環境」を選び取るといった価値観は、
いつ頃からもつようになったのでしょう。
田村:きっかけは、APU(立命館アジア太平洋大学)への一年間の留学でした。
当時の僕は「リサイクルビジネスをしたい」という妄想だけで、行動を伴っていなかった。
ですが、APUでは同年代の人が自分の思い描いていた夢をすでに形にしていて、
大きな衝撃を受けたんです。
APUには留学生がたくさんいるのですが、彼らの家電のリサイクルビジネスが実現されていた。
嫉妬心と、「自分にでもできるんじゃないか」という思いが生まれ、
「やっているとやっていない」の大きな差に気づいたんです。
形が小さくてもかっこよくなくてもいい。
そこでスイッチが入って、行動量が増えました。
NPO出資のカフェの経営や、フリーペーパーの制作、そして京都のベンチャー勤務。
東南アジアやインドなど海外を半年間放浪したこともありました。
ーー 一気に行動に移していかれたのですね。新卒で人材業界の会社を選ばれた理由は何でしたか。
田村:休学中にインターンしていたベンチャーでの経験が影響しています。
当時は人の入れ替わりが激しく、楽しそうに働いているとはとても言えない社員がいました。
「自分もまわりも楽しく働きたい」という思いから
社員へのヒアリングをして、会社の課題とその解決策を明らかにするというプロジェクトを社長に提案したんです。
結果をまとめたレポートは50枚くらいになりました。
今思うと理想論すぎるところもありますが、このプロジェクトで社内の雰囲気が良くなり、
辞めようと思っていた人が「もう少し働いてみるよ」と言ってくれたのは嬉しかったですね。
こうした経験が、人材への興味につながったのかなと。
ーー「人と人をつなぐのが本分」ともおっしゃっていましたが、この背景には何があるのでしょう。
田村:つなげる楽しさに気付いたのは、社会人になってシェアハウスを始めてからです。
例えばAとBという場をつなぐとしたら、
AとBの場を何となくでもいいから知っていることが必要になりますよね。
一カ所に留まるのではなく、色んな場に自分を置いて、見えてくる世界を広げていく。
それぞれの場で人とふれあう中で、目指す世界が近い人が見つかれば、
「こんな世界もあるんだけど、見てみたら?」と提案していきたいと思います。
☆後編につづく☆