早苗さんには、full bloom を立ち上げる前の活動をインタビューで伺っているので、
今の時点で、「自分らしいなぁと感じる瞬間についてお聴きしたいなと。

西尾早苗さん(以下、西尾):人の内面からの「こうありたい」という夢に対して、
「それは素晴らしい!」と感動し、相手に励ましの言葉をかける瞬間です。
感動と励ましを相手に伝えると、その人がさらに上を、遠くを、見て。
清々しく羽ばたこうとする。これが自分らしい瞬間だなぁって感じます。
ーー社会人向けのBeing Session では、早苗さんの言葉で勇気づけられた人は
すごく多かったんだろうなと思います。私もその一人。
では、代表の安井亜希さんに、新卒でリクルートに入社を決めた経緯についてお聴きしたいなと思います。
学生の頃は税理士を目指していたとお聞きしました。

安井亜希さん(以下、安井):「20代のうちに挑戦する機会が豊富にある」というのが入社の動機です。
幼少期から入院や大きな手術をする経験があったことから、“命は有限である”という意識がとても高かったのかもしれません。 “リスクは高くても、誰かの人生に深く関われる仕事がしたい”と思っていました。
大学に入り、税理士とは、会社の命である“お金”を扱う仕事なのだと、その可能性を感じました。
父親が創業時、会計知識がないことによって税理士に頼っている姿を見て、
「父親を助けたい。そして父親のように頑張っている中小企業の社長を応援したい」と思い、税理士を目指したんです。
ですが学生時代に税理士事務所で働いていたとき、色んな壁にぶつかりました。
財務諸表を読み解けない。社長の気持ちに寄り添えない。
社会の中で必死にもがいて働いたこともない若僧に、何ができるんだと感じ、凹みました。試験には合格しましたが、このまま税理士になるのはやめようと決めました。
税理士を手放したことで、明確な「やりたいこと」がなくなった私は、
20代のうちに色んな経験を積み、自分の可能性を広げてみたいと思っていたのでしょう。
最後の決め手は、個性的な社員がたくさんいたことなのですが(笑)。
ーー入社されてからどうでしたか。
安井:中小企業の社長に多く出会って、彼らの価値観や課題を知りたいとの思いから
営業を希望していたのですが、まさかの人事部配属で。
でも、これだけ多くの人を見てきたリクルートが決めたんだから
人事に配属されたことには意味があるんだろうなと思いました。
実際、採用に関わる中で、学生さんの人生に関わるやりがいを感じるようになりました。
「あなたの命、どう使うの?」
学生たちにこの問いを投げかけるのは、
「生まれてきた意味を使い切って生きてほしい」という思いがあるから。
コーチングの勉強をする中で、特定の会社の人事ではなく
もう少しフラットな立場で関わりたいという気持ちが強まり、
しばらくはリクルートと並行してコーチをやっていました。
コーチングに出会ったときは正直、「嬉しさと悔しさ」の両方があったんです。
自分が大切だと思っていたことが、すでにこんなにも体系化されて汎用化されていた。
もちろん心強いけれど、最初は圧倒されましたね。
現在はコーチとfull bloom 、父の会社が主な活動のフィールドです。
ーー「あなたの命、どう使うの?」って、自分の心の声を聴こうと思える大事な問いですね。
もっとお一人ずつお話を深く聴いていきたいのですが、
今度はみなさんに、full bloom の活動をしている中で感じていることを、
お聴きしたいなと思います。
田村:やっぱり!と思ったのが、親とのあり方が、その人の生き方に
大きく影響を及ぼしているということ。
学生たちが自分自身と見つめ直すワークの中で、
自分を認める場面での判断基準が、親の見方を引きずっていることが多々あります。
親のリアクションを察して「こう考えた方がいいだろう」と無意識に思っている子とか。
西尾:Being Camp でみんなと過ごす時間は、一泊二日で40時間程度ですが、
これまで背負ってきた鎧を脱いで、自分を生きるようになった学生たちは
泣き出したり、キラキラした表情を見せたりと、本当に大きな変化を遂げるんです。
カウンセリングやコーチングなど、一対一で自分を掘り下げる場とはまた少し違って、
みんなが集まる「場で感じられるもの」があるのかなと思います。
参加者の感想で多く寄せられるのが
「私と同じような悩みをみんなも抱えているんだな」というもの。
特に家庭のことって普段は人と比べたり、自分の家庭を客観視したりすることはありません。
ですが、人生グラフ(人生のモチベーションの浮き沈みや転機をグラフに表したもの)を共有する中で、
親との関係を紐解いていき、楽になる場面が訪れるのかなと思います。
此下:「弱い自分も含めてすべてを安心してさらけ出せる場」が
世の中に予想以上に存在していないのだなと改めて思いました。
そんな中、full bloom で自分を出して、変わろうとする子たちを見ていると、
安心して自分を出せる場そのものが大切なんだなと感じますね。
安井:自分の人生を生きようと決めたときの、その人のエネルギーレベルはすごいです。
自分の人生の舵を自分で切り出すと、人生や社会の傍観者ではなく、当事者になる気がしています。
人からもらった言葉やきっかけで人は変化できるし、昨日とは違う自分になれる可能性があるんだなって。
そういうエネルギーは、絶対的な安心感がある場があって、
深く人と対話して自分をさらけ出して初めて生まれてくるのかなと思います。
ーープログラムに参加した学生たちが「また参加したい」とやってきたり、
スタッフとして関わり始めたりしているのがすごいなって思うのですが、
こんなにも引き寄せられていく理由って何だと思いますか。
安井:一番はfull bloom の理念や世界観に共感してくれているからでしょうね。
「フルブルがめっちゃ好きです!普段こういう話ができる場って少ないし」
という声をいただくことが多くて。
あとは、日常生活で自分らしくい続けることはなかなか難しいので、
定期的にフルブルに参加することで、いい状態を保ちやすくなるのかなと。
ーー最後に、今後挑戦したいことを教えてください。
安井:共感共鳴の力で活動の幅を広げて、より多くの人に“自分らしく生きる”、ための機会提供をすることです。大学や企業との提携や、共感し合う他団体とのコラボにも前向きに取り組もうと思っています。
full bloom の世界観は、私たちそして参加した人たちの想いの連鎖で広まっています。
ただ、プログラムを開発・提供するだけでなく、その価値を伝えていく活動にも
力を入れていきたいですね。
また、寄付の仕組みなど、支援者の力を借りる仕組みをつくることで、資金が限られているがゆえにブレーキがかかってしまうのを減らして、もっといいものを届けたい。
持続的にfull bloom の活動を続けていけるよう、工夫していきたいと思います。
☆☆☆☆☆
メンバーひとりひとりともっとお話したい。
そして、full bloom の魅力の一つは、人の可能性を心の底から信じ、
自分らしく生きることを見守っていくメンバーたちの魅力なのだということを日本中に発信したい。
そんな思いで胸がいっぱいになった時間だった。
メンバー各人のモチベーションの源や、人やキャリアが人生のテーマになった経緯が異なり、
その違った光がまじりあうからこそ、
このメンバーでしか創り得ない「場の空気・世界観」があるのだと思った。
色んな人の可能性を開花させていくfull bloom のイベント。
またもう一度参加できる日が今から楽しみでたまらない。