2015年05月10日

「食」を中心に地域の良さを発信し、縁を「結ぶ」人 file.66(後編)

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☆前編はこちら☆

――川村さんがそうした動機を抱くようになった具体的なエピソードはありますか。

川村:何か一つの大きなきっかけがあったわけではありませんが、
農家の方から「俺の畑を見にこいよ」と言われ、生産現場を直接見れたことや
生産者の想いを生で聴けたことの積み重ねが、
私の原体験になっているんだと思います。
若い農家の方が「俺は将来、この土地をしょって生きる。
地域の農業の課題に向き合いながら、食の生産現場を担っていきたい」などと
真剣に語る姿に心を動かされました。

――「俺の畑を見にこいよ」と言われるほどの信頼関係を作れるのは
なかなか誰にでもできることではないと思ったのですが、よくそう言われませんか。

川村:めげずに攻めていったのがよかったのかもしれません。
箱根ファーマーズカントリーの方々にも
何度も会いたいとお願いしていたら、最初はうやむやにされていましたが、
私の本気が伝わったのか会うチャンスを作ってくださり、
次第に、定期的に飲み会に呼んでもらったり
イベントに参加させてもらったりと関係性ができていきました。
結屋の事業として、野菜ジェラートの企画販売という形で
共同で事業が出来たことも非常にありがたいですね。

――私だったらめげていると思うのですが…!

川村:未知の土地でゼロベースで始めたので、失うものはないですし、
動いたら動くだけプラスになるんですよ。
猪突猛進で動いていたこの時期が、今も続く大切なつながりをつくってくれた。
三島の飲食店に食べに行って、「こういうことを知りたいんです」と言うと、
その関係者を紹介していただいて、すぐにそこに赴いた。
これが三島バルの基盤にもなっています。

バルの出店は最初45店舗で、6回目となる昨秋は119店舗へ。
第1回の開催の時は「この企画をやるしかない」と腹をくくり、
手書きの企画書をもって三島の飲食店を100店舗ほど開拓しましたね。
「いきなりこられても困る」と突き返されたこともあるし
情報伝達でトラブルもありました。
そんな手探りのなかで開催した第1回目でしたが、
来場者は約1000名と、予想以上に多くのお客さんが来てくれたんです。
「昔のにぎわいが戻ってきたみたい」と喜ぶお店の方を見ると、苦労が報われましたね。
第6回の現在では、約3300名の方が参加下さっています。

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――新しい企画を立ち上げることと、それを継続させること。
両者においては求められるものが違うと思いますが、川村さんはどう感じますか。

川村:立ち上げ時は想いがあれば瞬発力と勢いでいけますが、
継続させるためには、内容をブラッシュアップしつつ、仕組みづくりも必要になるので
後者の方が大変だなと感じています。
出店してくださる店舗の方々にも来場者にも満足してもらえるような工夫を続けていきたいですね。

ーー大変な状況も乗り越えられる原動力は何でしょうか。

川村:地域の人たちのおかげで成長できたので、恩返しをしたいという思いが根っこにあります。
身近な人が喜んでくれる顔が見られる。
そして「三島っていいね」と思う人が増えていき、「いいね」の連鎖が生まれていく。
こうした小さな幸せの積み重ねが私の原動力になっています。
悩むこともありますが、着実に行動を続けて、
もっと三島をよくしていきたいと思っています。

――結婚されてから、考え方に変化はありましたか。

川村:事業のための時間と家族と過ごす時間とのバランスについて考えるようになりましたね。
以前は自由に動けて、夜12時から飲食店で打ち合わせなんてこともありました(笑)
多少の葛藤はありますが、「自分の時間ももちなよ」と気遣ってくれる夫の存在は貴重ですし、
二人の時間も大事にしていきたいですね。
だから今は、自分の行動において、「引き算」が大事だなと思っています。
捨てることを決める時期というか。
先日ある方の講演で「100人の女性がいたら100通りの働き方がある」とありましたが、その通りだなと。
他の人の事例はあくまで参考材料であって、
最後に決めるのはやっぱり自分自身だなと思います。

――個人的に共感するところがたくさんあります。
最後に、これから挑戦したいこと、将来の夢をきかせてください

川村:地域の食のよさを伝えるしくみづくりに力を入れていきたいですね。
三島バルや情報発信にくわえ、飲食店を始めたいと思っている人が学べる場など
この地域の食や文化の豊かさを次世代に伝えていける一連の流れを生み出せないかなと。
まだ構想段階ですが、飲食店や農家が生み出す味や体験を一つずつ掘り起こしていきたいですね。

☆☆☆☆☆

見知らぬ土地でも自ら道を切り開くバイタリティ。
そして、着実な一歩一歩が生み出す変化を大事にできる感性。
この両方を持った方だと思った。

地域の人たちが喜ぶ顔を見たい、食の良さを伝えて恩返しをしたい。

彼女の内なる炎は、周囲の人たちの情熱にも火をともし、
協力者や応援者を増やしていくのだろう。

ただ突き進むだけではなく、自分の本当に大事にしたいものを見つめ、
「引き算」を考える時間の大切さをも教えてくださった。

2015年秋にも開催される三島バルにはぜひ参加したい。
そして彼女の構想が形になっていくのを見続けていたい。
そんな思いでいっぱいになった。
ラベル:地域活性
posted by メイリー at 18:47| インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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